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第4回グローバル・リーダー学

日時:9月8日(土)

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①環境問題

宇宙航空研究開発機構(JAXA)社友 (前副理事長) 樋口 清司 先生

宇宙の視座と地球環境問題入門

 地球環境問題を宇宙から考えることの重要性や、現在の地球の現状を知るために地球観測衛星が活用されていることを学んだ。
 プラネタリーバウンダリーに関わる環境の各データを集めるために地球観測衛星が使用されており全データの約80 %は地球観測衛星が無ければ得られないデータである。プラネタリーバウンダリーの中で生物多様性の項目は危険領域に入っており、一刻もはやい対策が必要である。
 環境、経済、社会の課題は相互に連携、複雑化しており、持続可能な社会を作るために、新しい価値観、人生観に変わる時代が来ている。そのような中で、それぞれ個々が意識をもって生活していかなければいけないことの重要さを学んだ。
 生徒達は宇宙の話にも関心を寄せていたが、身近な問題として環境問題の重要性をさらに認識できたようであった。

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②教育・人権・ボランティア/③文化研究

光文文化財団 常務理事/光文社古典新訳文庫 創刊編集長  駒井 稔さん

古典新訳で世界の多様性を学ぼう

第1部・・・まず、ご自身の仕事の経験を数多く話していただく中で翻訳の奥深さをお話しいただき、ご自身の仕事に対するポリシーを感じることができました。

~古典はなぜ敬遠されるのか~
 古典を読むことはそんなに大変なのか。世界の優れた古典作品は、本来魅力あふれる作品ばかり。

~分かる翻訳、読める翻訳、楽しめる翻訳~
 少し昔、古典を読むことは必須の教養とされた。その訳は直訳調で難解。これでは古典を皆嫌いになる。しかし、今世紀になって古典の新訳が盛んになってきた。

~村上春樹の新訳が与えた衝撃~
 『キャチャー・イン・ザ・ライ』という代表作で名翻訳家の作品を全く新しい本に変えた大胆な新訳本。これを機に『新訳』という言葉が世界に広がった。

~世界には異なる考え方があり、感じ方がある~
 SNSにより、従来では考えられない情報の流れが起きるようになる。
 →価値観の多様性を知らしめることに。

~普遍性を学ぶべき時代へ~
 文化的な他者との出会いが飛躍的に多くなった時代。その出会いをより深いところで受け止める力を養う必要がある。そのために世界の古典作品を学ぶことが最良ではないか。同時代の無数のテキストの中で、時代を超えて読み継がれてきたものだけが生き残る古典新訳。その普遍性を学ぶ時がきた。最近の風潮は、「十分に豊かになった我が国に、もはや外国の文化に学ぶところはない。」という考え方。そうではなく今こそ世界に対する興味を持つことがますます重要になってくる時代。欧米諸国だけではなく、ラテンアメリカ・アフリカ諸国のお文化も学ぶべき対象になってきた。

 古典はいつも新しい。わくわくするような現代作品として読むことができるものなんだと伝えたい。高校生の時に途中で挫折してもいいから古典に触れるべき。いろいろな年代で作品の感じ方が変わる。

第2部・・・「トゥルゲーネフ/沼野恭子・訳『初恋』」の読書会
昨年度も講義していただいたが、古典の奥深さに生徒達も改めて読書欲に駆られたようであった。

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④法・歴史研究/⑥グローバル・ビジネス

日本社会事業大学学長・東京大学名誉教授 神野直彦先生

君たちはどう生きるか-経済学から考える-

1. 学問とは、生きる「状況」を理解すること
2. 学問を学ぶということ:学ぶことは人間の心の中のプロセス、「栽培型」の教育に
3. 人間の「点」を創る:その人をその人たらしめている「点」がある。
人間は人間と触れあいながら、人間になっていく
4. 部分ではなく、全体を:真理を追求する2つのアプローチ
5. 市場社会は要素市場が存在する社会:政治システム・経済システム・社会システムのしくみと構造
6. 自然環境と人的環境の破壊:現代の状況
7. 歴史の「峠」としての「危機」を乗り越える:軽工業→重工業→頭脳産業の変遷
8. 「所有欲求」から「存在欲求」へ:「ものの豊かさ」→「心の豊かさ」
9. 共同体的人間関係を補強する社会的セーフティネット:社会の基盤としての家族関係、
                  スウェーデンモデル:国家は「国民の家」という社会観

 以上の説明を聴講し、法・歴史研究、グローバル・ビシネスのグループで話し合い、質疑応答を行った。
 経済学は何なのか、日本経済をよくするには、教育について、AIとの関わり、経済学の力を使って強くなっている市場システムの力をおさえること、私たちはどう生きるかなどについて討議したり、家族の定義、家族関係、家族についてスウェーデンモデルが取り入れられないかなどの質問が出され、それぞれ先生から解説や、コメントを頂いた。
 経済学というテーマから、家族や哲学に至る幅広い分野の内容について触れられ、生徒達は議論をして知識を深めたようであった。

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⑤医療問題

鈴鹿医療科学大学学長  豊田 長康先生

答えのない問題を考えてみよう

生徒がどのように考えているか、ボタンを押してPCで瞬時にわかる装置を駆使しながら大きく次のテーマについて話された。

1. 倫理について考えさせられた個人的な経験

 水頭症(頭部が肥大)の胎児を穿頭術(頭に穴を開けて脳や髄液を出し、頭を小さくして嫡出させる)によって経膣分娩させる方法があるが、この処置により死亡する可能性が高い。もし、帝王切開に同意してもらえない場合、穿頭術を行うことは倫理的に許されるか。

2. トロッコ問題が投げかける倫理的ジレンマ

 結果が同じ事象に対して、その過程の違いによる倫理観の差がある。
 →理性による判断と感情による判断の違い

3. 人工妊娠中絶について、世界各国の制度の大きな違い

 日本では、胎児異常による人工妊娠中絶は認められていない。
(多くの国では母親の求めに応じて可としている。)
人工妊娠中絶を前提とした出生前遺伝学的検査は倫理的に許されるか。

 どの問題にも正解はなく、正解のない判断を迫られることが現実では多数起こる。先生の様々な問いかけに生徒達はグループ討議する中でで深く考えることができた。常日頃から様々な場面でどのように対応してくのか考え続けていく必要があるだろう。

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