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9月9日 第4回 グローバル・リーダー学

2017.09.09

①環境問題
三重大学人文学部・地域イノベーション学研究科教授 朴 恵淑先生
"Yokkaichi Studies" Learned from Yokkaichi Air Pollution, Global Warming & UNESCO ESD
環境問題を考えるには柔軟な発想が必要である。ローカル⇔グローバルのダイレクトな情報発信が必要である。
日本の四大公害の一つを経験している四日市だからこそ出来ることがあるはずだ。
「アジアは待ってくれない」… 急激な産業発達による環境汚染は困ったと感じた日本が行動(お金、技術)しなければならない。それが、国際環境の考え方である。
最初、生徒はこの国際環境の考え方に納得していたが、他国での激しい貧富の差による教育の不十分さなど日本とのギャップに現場での厳しさを痛感していた。
日本の環境意識はアジアで通用するのか?
生徒には若いうちに現実を見るために海外に行ってほしい。
何をすればいいのか。考えながら行動し、同時進行でなければ「アジアは待ってくれない」

②教育・人権・ボランティア
名古屋大学大学院 教育発達科学研究科教授 中嶋 哲彦先生
教育分野での国際協力と日本の貢献

(講義前半)ミャンマーの教育制度と社会福祉についての説明。仏教の精神からくる相互扶助の考えにもとづく風土があるということ。軍事政権にも抵抗してきた、僧院学校の役割の説明。福祉国家フィンランドとの制度上の相違等についての説明。さらに日本の福祉制度に注意を向ける。所得の再分配がうまく機能している国はどこか、日本、ミャンマー、フィンランドを比較し説明していく。日本の子供の貧困率についても言及し、社会福祉制度が法的に整っているとはいえない日本の現実の説明。
(講義後半)日本型教育の海外展開(文科省、外務省の最近のプロジェクト:タイ、ネパール、インド、ベトナムなどへの職業訓練、防災教育、初等教育)の紹介。対象国の人々との信頼関係のつくりかたがわからないと、国際貢献はできない。では日本の教育を海外展開するとき、どういう問題を克服すべきか?という問題提起。生徒の意見としては「日本の教育方針がよく変わること。日本人の為の教育がはたして外国に合うのか?押し付けることになるのでは?」「教員人数が日本のように確保できるのか。」「日本の教育を絶対視してしまう」などが出された。また、日本教育の誇れることとして、小中校の平等主義、機会均等の精神は誇れる。それが日本の底力となったが、一方で、高校以降の格差主義、競争主義を生んでしまったのが大きな問題である。ピサの調査結果から自己肯定感が低いことが大きな問題として挙げられる。海外に日本の教育を展開するには、こういった自国の姿を見つめ直すことがまず必要である。
考えさせられる問題が散見したので、生徒たちは真剣に聴けたようで、うまくつかめた生徒はいたと思う。
③文化研究
東京大学人文社会系研究科・文学部教授 沼野 充義先生
グローバル化時代に世界文学をどう読むか?-想像力と人文知をめぐって-

文学に何ができるかをテーマにいくつかの作品を例にあげて講義が90分あり、講師先生編著『つまり、文学は冒険だ』の冒頭記述の「世界文学6か条」について、今までの自分の読書経験に則して思うことをグループに分かれてディスカッションを行った。その後、発表しあった。
生徒の感想としては、興味深い内容で、おもしろかった。もっと本を読もうと思った。前に読んだ本を読み返してみようと思った等があった。
④法・歴史研究
名古屋大学大学院法学研究科教授 愛敬 浩二先生
比較と歴史を踏まえて考える憲法 - 改憲論議のための準備運動

活動内容としては、改憲論議について、「押し付け憲法」問題を中心に憲法をめぐる歴史や他国(英国・米国)との比較についての講義を聴き、問題について考察した。生徒の感想は「自民党政権下での憲法改正について早急ではないか」「自民党草案について初めて触れたが問題点があるのではないか」等、憲法について興味を持って考えられるようになった。
また、講義の中で出てきた具体例を通して「気づき」が多く、憲法改正に対する意識が変わったと感じる生徒が多かった。
生徒たちの憲法改正問題についての知識が十分でないため、理解や問題解決力が求めるレベルに達していないと感じる場面もあったが、建設的な議論を進めようと各自がグループ内で様々な発言をおこなっていた。
⑤医療問題
京都大学医学研究科・放射線遺伝学教授 武田 俊一先生
医学部卒業後のキャリア

講義の内容は以下の通り

私のキャリア
文系とは?理系とは?
入試に合格しやすいのはどちら?京大医学部、あるいは京大医学研究科(大学院)
将来、生物学の研究者になりたい。理学部に進学する?医学部に進学する?
医師のキャリアと保健医療
医系の官僚キャリア
どの大学の医学部狙う?
生徒の感想としては

医学部入学後に医師になるための過程や医療に関する現状を知ることが出来た。
文理選択時の物理・化学の選択について、理系に進む場合の適性を聞くことができて良かった。
 また、講義形式の説明の間の所々に例えば「京大・工学部・地球工学科を卒業し、県庁に就職した学生が勉強すべき課題は?」という質問などを出題されたが、問題によっては正解者の多いものもあり、生徒は的確に答えていた。最後の30分程度のグループ討論では「医療費について、どのように減らせばよいか。」というテーマで話し合っていたが、画期的な意見も出され、生徒たちは、熱心に議論していた。
⑥グローバル・ビジネス
日本社会事業大学学長・東京大学名誉教授 神野 直彦先生
混迷する人間の歴史を読み解く~あなた自身が希望と楽観主義を携えるために~

100分程度の講義の後、グループごとにテーマを決めて討論、グループの代表者が討論した内容の発表を行い、講師先生の発表に対する講評と助言があった。生徒の発表の内容は以下の通り

1班:“「所有欲求」から「存在欲求」へ”と“「政府縮小-市場拡大」戦略から「市場抑制-社会拡大」戦略へ”について討論。“希望と楽観主義”への考察。
2班:“民主主義社会の基盤としての家族” について討論。“子どもと家族”から“大人に対して無理な欲求をしているのか”を考察。
3班:“愛するということ”について討論。“インドの結婚観”と自分たちとの違いから結婚というものについて考察。
 2時間近い講義は、日ごろ世界情勢等のニュースを見る習慣がないと非常に難しい(社会人には興味深い)内容で、途中、眠くなってしまう者もちらほらいたが、各班でテーマを決めるのに、それぞれが自分の意見を活発に発言。テーマも討論の発展性なども考えて、ほんの5~6分でスムーズに各班とも決定。その後の討論では、笑いや歯切れのいい賛同の声が漏れるなど、非常に活発に意見が飛び交った。時間配分もまとめに向けての協議も実にスムーズだった。最後に講師先生の出迎え、休憩時間や終了時の控室へのエスコートが実に自然体で素晴らしく、準備や片づけも流れるように事が運ぶのに感心した。