①環境問題
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授 久保田 耕平 先生
生態系の生物間相互作用に及ぼす地域温暖化と外来生物の影響について
先ず、食物連鎖には生きた植物を植食動物が食べることから始まる生食連鎖だけではなく、動植物の死体や糞から始まる腐食連鎖があり、植物の成長や植食動物が植物を食べるためには微生物との共生が重要であることの講義を受けました。
その後、①地球温暖化の影響や②外来生物の影響によって、生物間相互作用に急激な変化が起こり、生態系の正常なプロセスが侵されている現実をサンゴ、蝶々、アメリカザリガニ、ブラックバス、桜などの身近な植物や動物を具体例に挙げて説明されたのち、この要因を断ち切るために自分たちが実行可能なことを2つのグループに分かれて討論しました。
自分たちが身近にできる地球温暖化対策としては、ゴミの減量、リサイクル、公共交通機関の利用を心掛けることや、外来生物対策としては、ペットを飼う人のマナーの向上を啓蒙したり、飼えなくなったペットを引き取る施設を作るなどを挙げていました。
②教育・人権・ボランティア ③文化 ④法・歴史研究
東京大学名誉教授/立命館大学大学院先端総合学術研究科特別招聘教授/
認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワーク)理事長 上野 千鶴子 先生
「民主主義ってなんだ?」
まず、パワーポイントによる講義で「民主主義とはなんだ?」との問いかけをして「さまざまな民主主義」や「主権者」という内容について基本的なお話がありました。
その後、先の総選挙での若者(19-29)有権者の投票率はなぜ低いか?や若者(10代&20代)有権者の自民党支持率はなぜ高いのか?という現実のテーマについてKJ法によるグループでの討議やそれぞれの意見発表などを行いました。
生徒の意見・感想としてはポジティブな意見、ネガティブな意見等多数出る中、「自分たちの世代は保守的とは思っていなかったが、意見を集約すると明らかに保守的という事実がわかり、驚いていた」「『愚民』という言葉に納得。関心をもって『愚民』から脱却したい」「政治家やメディアに踊らされているのではなく自分自身がしっかりと考えたい」などの感想が出されました。
3時間があっという間の内容でした。
⑤医療問題
三重大学副学長 医学部教授 堀 浩樹 先生
グローバル課題への提言 ~医療問題~
次の①~③の3つのテーマそれぞれについて、講義・グループ討論・発表の形式で行いました。
①Global health problemsについて。
…討論としては、変貌しつつある地球規模での健康課題は?
②Childhood cancer in low/middle income countriesについて。
…討論としては、小児がんの子ども命は生まれた国によって差があるのか?世界の小児がんの子どもを救うためにできることは?
③Social determinants of health (SDH)について。
…討論としては、健康の社会的決定要因と医療格差は?
これらの中から生徒たちは、地球規模での健康課題や地域間格差などを現在の日本と比較し考える機会となり、新たな発見や気づきが講義やグループ討論から生まれていました。
相手の価値観を知ることがグローバル課題への取り組みに必要なことであることや、相手側の発展も考えて自律していく力を育てる関わりが大切であるとも感じていた。熱心に討論していく中で新たな視点を得たように思いました。
⑥グローバル・ビジネス
アイシン・エイダブリュ株式会社人材開発本部人材育成部スタッフ系階層教育グループ 柴田 由美 さん
グローバル企業の成長を考える
アイシン・エイダブリュの世界戦略について、まず「ダイバーシティ」のメリット・デメリットについてグループ内話し合いをしたあと、発表。
さらに関わる組織が「ダイバーシティ」になったとき、自分たちならどうするかについて話し合ったあと、発表。
シチュエーションを決め、それにどう対応するかについて話し合いました。
生徒からは「グローバル企業の人材戦略や最新機器を見て、リアルな実情を知る貴重な経験だった」「『無意識のうちの偏見』ということが印象に残っている」「自分が将来勤める会社は、ダイバーシティに対応している企業であって欲しい」「IT技術を使ってダイバーシティを行うことはこれからもっと発展していくので楽しみ」「女性の雇用について知ることができた」という感想が聞かれました。
柴田さんのお話から生徒たちは「グローバル企業」という漠然としたイメージの中に企業が思い描く理想があることを理解したようで、「ダイバーシティ」というなじみのない概念についても実際の企業現場の例を挙げて教えていただいたことで「多様性のメリット」と「デメリット」の両方に気づくことができ、理解が深まったようでした。