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第7回グローバル・リーダー学

2018.12.08
日時:12月08日(土)
①環境問題
東京大学院農学生命科学研究科准教授 久保田 耕平 先生
生態系の生物間相互作用に及ぼす地球温暖化と外来生物の影響
 最初に食物連鎖と生物間相互作用についての講義の後、前半は地球温暖化によって、後半は外来生物によって生じる生物間相互作用への影響について、話をしていただいた。また、前半・後半とも、それによってどのようなことが起こり得るのか、また、その影響を最小限にするためにどのようなことを行えばよいか、についてグループワークを行った。
 (前半)生徒は、温暖化を食い止めるために自分たちに何ができるかについて互いの意見を積極的に交換していた。SNS等を通じて自ら発信していくことの大切さや、「何もしなければ何も変わらない。小さなことでも継続を。」という言葉に共感していた様子であった。
 (後半)生徒は、外来生物による影響について意見交換し、班としての意見をまとめて発表を行った。今まで知らなかった外来生物やその影響について話を聞くことができ、深く考える機会となったようであった。
②教育・人権・ボランティア
ノンフィクション作家 中村 安希 さん
グローバル化社会における人権課題と解決に向けた取り組み

 高卒後、渡米されアメリカの大学を卒業。26歳から2年間に渡って世界47カ国を旅された経験などをもとにお話しいただいた。

1.偏見:社会に潜むステレオタイプ・・・
 日常的に人をひとくくりに見てしまいがちである。例えば、人種によって偏った役ばかりがあてられたり、見た目だけでテロリストと思われてしまう。

2.人権侵害:ロヒンギャ難民の例(ミャンマー&バングラデシュ)・・・
 民族差別と迫害、信仰への抑圧、移動の制限、教育を受ける権利の侵害、女性差別と性暴力、SNSを使ったヘイトクライムなど不当な人権侵害が起こっている。

解決にむけて:NPOの取り組み(日本)・・・
 日本難民支援協会、ビッグイシュー・ジャパンなどの活動について

【グループ討議・発表】
 グループで、「身近な偏見やステレオタイプ」または「身近な人権問題」を取り上げて話し合い、具体的な解決策を挙げる。各グループからは、「SNSを使った悪口」「男性の人権」「学歴と人権」「日本在住の外国人の人権」等について発表があり、講師先生からコメントをいただいた。
③文化研究/⑥グローバル・ビジネス
小石川伸哉(讀賣テレビ放送株式会社取締役(編成・制作・コンテンツ担当))
辻出国彦(読売テレビ編成局マルチメディア推進部)
メディアの存在意義と将来のメディア、そしてテレビについて

 講義内容は、メディアの歴史とテレビの歴史から話され、2002年のテレビ欄と当日のテレビ欄の番組構成を比較しながら、わかりやすく解説していただきました。また、少子高齢化する日本の現状を未来の人口動態について話され、メディアの社会的役割や、テレビ番組を中心にしたマルチメディア展開の実例(映画、配信、web、イベント、グッズ、海外展開など)を紹介していただきました。

 2つのことについてグループディスカッションをしました。

①「テレビ番組はずいぶん変わっていますが、この中から何を読み取ることができるでしょうか? テレビ界の変化、世の中の変化について、考えられることをまとめて下さい」
②「10年後のテレビ番組企画を考えよう」
まとめ:②のディスカッションで、講師の方々から「生徒の皆さんが考えた企画は、VRなど現在検討中のものが多くあり、素晴らしいと思います。さらに、是非採用させてもらいたい企画もありました。編成に提案します。」と講評されました。
④法・歴史研究
名古屋大学大学院法学研究科教授 愛敬 浩二先生
日本国憲法の普遍性と固有性 改憲論議のための準備運動

・イギリスのEU離脱レファレンダムから何を学ぶべきか 
→Scottish nationalist partyの訳を例にとり、各主要人物の思惑や論調、さらにレファレンダムの結果の説明。

・日本国憲法の普遍性について
→憲法論議と改憲論議の違い。ブルックリン美術館事件と菊池寛全集事件を例にとり、芸術への公金支出と憲法との関係性の説明。芸術における市民の多数決による決定は可能かどうか。

・立憲主義とは何か
→個人の基本的人権の保障が目的であり、政府はそれをよりよく実現するための手段として知恵・工夫としての憲法がある。

・憲法9条のリアリズム
→戦後日本が「非武装」であったことは一瞬たりとも無い。自衛隊を合憲にしただけで目的が達成するということではない。しっかりと政治家に議論してもらう必要がある。広く情報を集めて現状の課題を把握してほしい。9条の改憲議論については日本の利益だけを考えるのではなく、東アジアなどの情勢についても考えていく必要があるのでは。安全保障というのは自国だけの問題ではない。例えば中国との関係性は非常に興味深いものである。
⑤医療問題
京都大学医学研究科・放射線遺伝学 武田 俊一 先生
医学部卒業後のキャリア

 前半は、武田先生の履歴を中心に、今までに研究・体験した時の話や医者にとって必要な要素を語られました。医者は医学に関する膨大な知識を筋道立てて覚え、活用する能力と人間関係に気を配る能力が特に重要とされるようです。また、本当に医者になりたいのであれば、有名大学の医学部にこだわり何年も浪人するよりも、早く医学部に入学してキャリアを積む方が有益であり、特に若いときには積極的に海外留学をして自分の好きな研究に打ち込むことで貴重な体験や経験を積めると勧めてみえました。

 後半は、今年ノーベル賞を受賞された本庶佑先生のガン免疫治療について紹介をされ、治療費用や日本の医療制度、医療保険等について語られました。途中で、「現在増え続ける医療費の赤字を減らすためにどのような工夫をすることができるか」についてグループワークを行い、互いに発表を行いました。

 最後に、四日市高校の卒業生で京大医学部に進学した生徒で、現在、スタンフォード大学で研修を受けている生徒とタイの大学病院で実習をしている二人を紹介されました。